活カニ、冷凍カニ、ボイルカニの違いと特徴をバイヤーの解説付きで詳しくご紹介。王道のタラバガニ・ズワイガニ・毛ガニの代替として使えるカニもお教えします。
活カニ・冷凍カニ・ボイルガニの違い
カニはお届けする商品の状態によって「活」「冷凍」「ボイル」など表記が異なります(表1)。この表記により、カニが生きているか、加熱や冷凍などの処理が施されているかを把握できます。これらの違いを理解し、用途に応じて適切に選択してください。
表1 カニの状態と商品名
生きている | 凍っている | 茹でられている | |
活 | ○ | ✕ | ✕ |
生(表記なし) | ✕ | ✕ | ✕ |
ボイル | ✕ | ✕ | ○ |
冷凍生 | ✕ | ○ | ✕ |
冷凍ボイル | ✕ | ○ | ○ |
■活カニの特徴
活カニとは、文字通り生きているカニのことです。木くずやエアーポンプ(通称:ブクブク)を使用し、生きたままお届けしています。活カニの魅力は、カニ本来の美味しさを味わえることに尽きます。お刺身にしても、蒸して旨味を閉じ込めるのも絶品です。また、動いている姿を見せれば、お客さんも喜ぶこと間違いありません。
特徴 | |
活カニ |
・生食可 ・価格が高いものが多い ・生きていてるためインパクトがある |
活でないカニ |
・生食の可否は商品による |
■冷凍カニの特徴
冷凍カニの魅力は、保存期間が長く、価格も比較的安いことにあります。従来は冷凍により、カニの細胞内の水分が膨張して氷の結晶となり、カニ本来の繊維感が損なわれたり、解凍時に旨みが流出したりすることがありました。しかし、最近では、「急速冷凍」技術が確立され、大きな氷の結晶ができやすい温度帯を短時間で通過させることで、食感の変化や旨みの流出がかなり抑えられています。また、冷凍品は輸入前に製品を検品・選別することが多いため、身入りが安定している商品が多いのも特徴です。カニ本来の味わいをどこまで求めるのか、いつお使いになるのか、ご予算はおいくらか等を踏まえて、最適なカニをお選びください。
表3 冷凍ではないカニと冷凍カニの違い
特徴 | |
冷凍していないカニ |
・価格は比較的高いものが多い ・保存期間は比較的短い ・歩留まりがいい ・カニらしい繊維質の食感 ・旨味の流出が少ない |
冷凍カニ |
・比較的安価 ・保存可能期間が長い ・見入りが安定している商品が多い ・食感が変わる場合もある ・旨味が流出してしまう ・商品によって味や食感に差がある |
■ボイルのカニの特徴
生のカニは調理に時間がかかりますが、ゆで汁まで活用したり、蒸して旨みを閉じ込めたりできるのが魅力です。一方、ボイル済のカニは手軽にすぐ料理に使えるのが魅力です。サラダや焼き料理などにおすすめです。どのような料理に使うかを考えながら、生かボイル済みかを選んでみてくださいね。
表4ボイルしないカニとボイルカニの違い
特徴 | |
ボイルしないカニ |
・調理時間がかかる ・茹でればゆで汁が使える ・蒸せば旨味を逃さない |
ボイルカニ |
・調理時間がかからない ・旨味が多少流出する |
カニの部位と名称
実はカニの各部位には固有の名称がつけられています。ここでは、カニバイヤー手書きの資料を参照に、カニの部位とその名称をご紹介します。
■丸・姿
切ったり割ったりなど加工を施していないそのままの姿を「丸」または「姿」と呼びます。
■セクション・一肩
甲羅を取り除き、真二つに割ったものを「セクション」または「一肩」と呼びます。
■脚・その他の脚・肩
セクションは爪を含む脚・その他の脚・肩の3種類のパーツに分かれます。
■爪下棒・ボンボリ・爪
爪がついた脚は「爪下棒」「ボンボリ」「爪」の3つのパーツで構成されています。
■2本爪ポーション・1本爪ポーション
爪下棒とボンボリ側の殻を少し残して、あとの部分をつるんと剥いたのが「爪下棒ポーション」です。爪の部分を全て剥いたのが「爪玉」、爪先を2本残したのが「2本爪ポーション」、爪先を1本残したのが「1本爪ポーション」になります。
■棒・ラッキョ・南蛮・爪先
その他の腕は、「棒」「ラッキョ」「南蛮」「爪先」の4つのパーツで構成されています。
■棒ハーフポーション・棒肉
棒とラッキョの、ラッキョ側を少し残し、あとの部分をつるんと剥いたのが「棒ポーション」、棒の部分の半面の殻を残したのが「棒ハーフポーション」、殻をすべて剥きとったのが「棒肉」となります。
■肩
残ったパーツは、足の生え際である「肩」のみとなります。
王道の代わりになるカニ一覧
タラバガニの代わりになるカニ
魚種名 | 活/冷凍 | 加工品 | 主な産地 | バイヤーコメント |
アブラガニ | 両方 | - | 北海道、ロシア | タラバより全体的にトゲが少なくツルツル。名前で敬遠されがちだが、良品の味は遜色なし。 |
ミナミタラバガニ | 両方 | ○ | チリ、アルゼンチン | 茹でたあとの殻色がタラバより薄く白い部分が目立つ。良品の味は遜色なし。 |
チリイバラガニ | 冷凍 | - | チリ | タラバよりトゲトゲしている。身入りがいいときはトゲの一本一本までぎっしり。 |
ミルキークラブ | 冷凍 | ○ | チリ | タラバより殻色薄い。濃厚なうまみ。 |
ハナサキガニ | 冷凍 | ○ | 根室、ハナサキ | タラバよりトゲが多く、身入りが不安定ですが、場所によってとてもおいしい。 |
ズワイガニの代わりになるカニ
魚種名 | 活/冷凍 | 加工品 | 主な産地 | バイヤーコメント |
トゲズワイガニ | 冷凍 | - | ロシア、ノルウェー | 殻色がやや薄赤い。味はズワイとほぼ遜色なしだが、やや水気あり。 |
ベニズワイガニ | 両方 | ○ | 韓国、日本海、ロシア、北海道 | 茹でられる前から赤い。やや水気あり。 |
毛ガニの代わりになるカニ
魚種名 | 活/冷凍 | 加工品 | 主な産地 | バイヤーコメント |
クリガニ | - | 両方 | 北海道、青森、東北、ロシア | 毛ガニには劣るが、安いので代品で人気。毛ガニに似た味わいでカニ味噌も絶品。 |
その他のマイナーカニ
魚種名 | 活/冷凍 | 加工品 | 主な産地 | バイヤーコメント |
オオズワイガニ | 冷凍 | ○ | アラスカ | 身肉の繊維感がやや太く食べ応えある。ズワイより旨味がやや強い。 |
タカアシガニ | 活 | - | 駿河湾 | 世界最大の節足動物。身入りにばらつきあるが、姿のインパクトは抜群。 |
ワタリガニ | 両方 | ○ | 中国、ミャンマー | 良いダシが出るため、パスタ用に好まれる。メスは内子やミソ、オスは身がうまい。 |
ノコギリガザミ | 冷凍? | ○ | ミャンマー、バングラディッシュ | ソフトシェルクラブとして出回るのは、ほぼこれが脱皮した直後のもの。 |
モクズガニ | 活 | - | 日本 | 旨味あり。上海ガニの代用で蒸したりする。ただ生息域によって味薄かったり泥っぽいので注意。 |
タンジネスクラブ | 冷凍 | - | アメリカ | アメリカ西海岸で大人気。旨味うすい。食べ応えと見た目のインパクト重視。バターにつけて食べる。 |
ストーンクラブ | 冷凍 | ○ | チリ | 大型の爪は欧米で評価高い。身の旨味うすめで少しどろっけあるが悪くはない |
サワガニ | 活 | - | 九州など | 唐揚げにして食べる。 |